2022年5月、政府により、全国民の歯科定期検診の義務化が検討されています
【「新しい資本主義」実行計画と「骨太の方針」】の一環。
確かに、歯は大事なのに、おろそかにしてる人は多いですよね。
とはいえ、義務化までする必要があるのかな?
そもそも、なぜ、急に
国民全員の義務化が検討されることになったの?
なぜ義務化されるのか、巷の情報を整理し
考えられる3つの理由を解説します。
さっと読むための目次
国民皆歯科検診義務化:理由①歯科医院の経営が厳しい

歯科医院の増加
■歯科医院数推移
・2016年は2010年より586件増
・2019年は2016年より440減少、2010年からは146件増
人口は減少しているが医院は過剰感が否めない、競争などもあり、経営への影響が大きい
年度 | 歯科店舗数 | 増減 |
2010年 | 68354 | |
2016年 | 68940 | +586 |
2019年 | 68500 | ▲440 |
保険診療中心の歯科医院は厳しい
■ 保険診療は単価が減っているのに仕事が増えている現状。
- レセプト(医療報酬の明細書)単価が下がっている
- 保険点数が取れない
- 近年多いクレームを避ける意味での治療に対する合意業務が増加
■ 自費治療は特定患者には良いが一般患者は費用の面で敬遠せざるを得ない。
保険診療中心の治療が多い。
密着治療を敬遠する傾向
■ 特に歯科治療は飛沫と密着が多いので、虫歯で痛くてどうしても治療必要なとき以外は
治療の先延ばしをする傾向がある、よって患者数減る。
当面続く見込みの災禍 歯科医院自体も休院せざる得ない時期がある
経営へのインパクトが大きい。
国民皆歯科検診:理由② 日本歯科医師連盟のロビー活動成果

歯科医院の窮状打破のためのロビー活動
■ 日本歯科医師連盟の方々の政治団体、行政への働きかけ
・歯科業界団体が政治行政に窮状を訴える。
・歯の健康状態が改善されば、誤嚥、糖尿病、心臓病などの予防に繋がり
医療費全体を下げる効果が期待される。
・参議院選を控えての積極的活動
どの業界でも利益誘導のためのロビー活動はしますが、歯科業界も例外ではない。
過去、日歯連のトップ経営者らが、政権与党、官僚に対し、政治資金規正法を破る
献金、賄賂で逮捕や起訴されることも記憶にあたらしい。
国民皆歯科検診義務化:理由③ 医療費の抑制

歯の喪失防止による、全体医療費抑制
歯の喪失防止効果
■ 高齢者は歯が健康な人ほど、生活の質、活動能力が高い
・日頃の運動、コミニティー参加などを通して、体全体の健康につながる。
■ 歯の健康を維持して他の病気を抑制し医療費全体を抑える狙い
・歯周病からの影響が考えられる高血圧、糖尿病など成人病の予防効果も見込まれす。
国民皆歯科検診義務化によるメリット
患者側のメリット
検診の効果で時間とお金が節約できる
■毎年の検診で歯の健康状態を確認でき、虫歯になってからや、口腔疾患の重症化してからの治療をしなくて済むので、時間とお金が掛からなくなる可能性が高い。
■今までは歯の不具合を指摘されたら、その治療を受けざるを得ない状況だった、その治療が本当に必要か? 複数の治療方法があった場合に、どの治療方法を選択すべきか、素人患者には判断がつかなかった。思ったより治療費がかかる場合もある、今後、歯の健康へのリテラシーが高まれば、いままで以上に、歯科医と一緒に納得の治療体制が実現されるようになる。
現状の定期検診の状況は?
■過去1年間に歯科定期検診を受けた人の割合
【 全体で52.9% 】
年代 | 歯科定期検診を受けた割合 |
20代 | 43.3% |
30代 | 44.5% |
40代 | 49.4% |
50代 | 52.4% |
60代 | 58.1% |
70代 | 57.9% |
2人に1人くらいは受けているのね。
■街の声:歯の検診、受けてますか?
親が入れ歯だったので、自分は自分の歯で一生を生きたいと思い、小学生の頃から歯医者に通っている
面倒くさい、どうしても延ばし延ばしになってしまう
歯医者の都合で勝手に1ヶ月後とかに予約されるイメージもあり、それなら、もう行かなくていいかな〜っておもっていまう。
歯で困ったことがないので行ったことがない。
参考引用:ワールドビジネスサテライト
★今まで面倒で先延ばしにしている人などは、義務化されることにより強制的に検診にいくようになることや、費用面でも安く済む可能性が高いことなど、ある意味メリットになりそうです。
歯科医院側のメリット
検診により経営が安定化する?
■ 歯科定期検診が義務化されれば、病院経営は安定すると考えられます。
・病院運営への影響で最初に考えられるのが、患者さんが増えることです。
歯科医院によっては、ただでさえ忙しいのに、多くの検診患者まで面倒見れないよ! ということがあるのかもしれません。
ただシロウト目には・・・
- 健康診断のように会社とかに検診バスがきて、検診をする
- 近所の歯科医院で1年に1度の検診を受け、検診済証明書をもらう
■上記のように、どういう検診方法をとるかにより、医院の対応が変わってくるのでハード面などの準備とか色々と対策が求められ、実質、医院にとっては対応するための時間が取られることになる。
一時的には人・物・金の面で経営に影響がありそうですが、導入にあたり、国からの補助金などの対策が考えられるので、受診の流れさえ整えば、医院の売上がアップするはずですので、メリットが大きいと考えられます。
費用負担の問題は不透明
■費用の問題はこれから
・通常の歯科検診費用は大体五千円前後はかかりますので、国民全員の費用をどこから捻出するのか?
・国民各個人が負担するのか?
■いづれにしても、法整備、法の改正など、義務化導入までに、やるべきことは多そうです。
どのようになるかはっきりわかりませんが、義務化されれば、利用者が増えることにつながりますので、少なからず、歯科医院の経営への恩恵が多少なりともあると考えられます。
今後、健康保険証からマイナンバーカードで医療機関受診ができる
各医療機関にはマイナンバーを読み取る機器が必要になる
補助金などが支給されなければ、医療機関には負担が増えますね
まとめ

「新しい資本主義」実行計画と「骨太の方針」6月7日決定へ
■ 2023年までに議員立法制定予定。
■「国民皆歯科検診」は2025年を目処に導入を目指している。
今回の発表を受け、義務化への批判、反発が出ていますが、現在の歯科医療環境を踏まえたうえで、必要な時に必要な歯科治療が受けられるように、考えていかなければならないと感じます。
歯が痛くなったら、必ずお世話になる歯医者さん
子供からお年寄りまで、なくてはならない存在です。
お住まいの近所に安心して通える歯医者さんは必要ですよね。
経営が厳しい、歯科医院を助けるような施策は必要です。
利益誘導だけではない、真に必要な医療体制を整えるための政治力、行政力を発揮してほしいものです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。